表彰動画 審査講評

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審査講評

審査委員長 石隈利紀先生

東京成徳大学大学院教授、一般社団法人 学校心理士認定機構 理事長

コロナ禍で皆さん大変な日々を送っていらっしゃる中、たくさんの応募をいただきました。

426,065件の皆さんの作品を私たちは読ませていただきました。

コロナ感染症が拡がる中、私たちが心配したのは「コロナ感染症が怖い」「コロナ感染症になっている人が怖い」「コロナ感染症をうつす人が怖い」ということで偏見、差別が拡がることです。それは学校や私たちの周りにおいてはいじめになります。その中で皆さんと一緒にいじめを考え標語を作っていただいたことは、今年の意味があると思っています。

今回読ませていただいて、皆さんがいじめを他人事ではなくて、自分事として考えてらっしゃることがよくわかりました。私たちのところに届きましたし、それを周りに広めていきたいと思います。

今回特徴的だったのは「大丈夫」という言葉でした。「大丈夫」と友達が言っているけど大丈夫じゃない場合があるとか、「大丈夫」と言って子どもが答えると大人が見過ごす例があるとか、「大丈夫」は「大丈夫じゃないんだ」というメッセージが多くの方の標語に含まれていました。皆さん良いところに気付かれたと思います。

いじめの標語を皆で考えながら、いじめのない社会、いじめが起きても早く気が付いて被害者を救える社会を目指して、一緒に子どもも大人も進んで行けることができるといいなと思います。このいじめ防止標語コンテストが、そのきっかけになってくれることを望みます。

審査委員 太田裕子先生

聖徳大学 聖徳大学短期大学部 大学院 教職研究科 教授

まず、第14回いじめ防止標語コンテストに応募してくださった皆さん、素晴らしい標語をありがとうございました。いじめ撲滅の思いを標語にして公表するのは、それが身近なことであればあるほど、本当に勇気のいることではなかったかと思います。私は、その勇気こそ、いじめ撲滅の第一歩と思います。今回応募してくださった皆さんには、その勇気を、ここに集う仲間とともに、これからもずっと持ち続けていってほしいと思います。

さて、今回の応募作品には、コロナ禍の影響を感じさせるものが沢山ありました。コロナの話題がいじめにつながってしまう場合もあることや、一人の時間が増え、いじめについて改めて考えたことなど、身近な出来事や思いを作品にしたものが多かったように思います。その中で、文部科学大臣賞の2作品は、今蔓延するいじめの根源を鋭く突く作品となりました。「いじめ問題をわが事としてとらえること」の大切さです。

残念ながら、いじめの認知件数は、過去最多の61万2,496件となり(文部科学省発表2019)、さらに増え続けています。この標語をいじめ撲滅の第一歩として、ともに歩んでまいりましょう。

審査委員 品川裕香先生

教育ジャーナリスト・(株)薫化舎コンサルタンツ取締役副会長

入賞された皆様、この度はおめでとうございます。入賞作品はいずれも真っ直ぐで力強く、心に刺さるものばかりでした。今年度、特に印象に残ったのは、保護者や教師がいじめに気づかないことに対する怒りや悲しみを読み込んだ作品が複数あったこと、加害者もまた助けを必要としていると訴えた作品が登場したことでした。審査しながら何度も心身を揺さぶられました。

新型コロナウイルスの蔓延で世の中は急激に変わりました。先の見えない日々に誰もが不安を覚え、強烈なストレスを抱えながら生きています。そんな時代のいじめはますます卑劣化し、当事者以外には見えにくくなっていると取材を通して痛感しています。いじめが許されないことなどみんな頭ではわかっています。でも、なくならないのはなぜか。どうしたら予防できるのか。解は簡単には見つからないかもしれません。だからこそ今一度、大人も子どももいじめという暴力の本質を見直すべきだと私は考えています。諦めず、一緒に頑張りましょう。

審査委員 山田貴敏先生

漫画家(『Dr.コトー診療所』著者)

今回は例年と違い巣ごもり生活が長かったせいか「大丈夫」と言う相手に向けた言葉でもあり、逆に自分自身に返ってくるような作品が多く寄せられました。強いて言うならどこか客観的でもう一歩踏み込めていないというのも、今回のコンテストの特徴であったかと思います。でもこれは一人で過ごす生活が長い中、自分を見つめ直しいじめと向かい合ういい機会ではなかったかとも思います。その中で優秀賞最優秀賞に選ばれた作品はポジティブでネガティブではないものが選ばれたと思います。その中でも文部大臣賞に選ばれた高橋さんと田井さんの作品は素晴らしいものであると審査員一同が感銘を受けたものであります。

いじめはなかなかなくなりませんが、このコンテストを続けていくことで少しでもいじめと向き合う機会が作れたならやってきた価値はあると思います。

いつかいじめという言葉がなくなりますように。